住まい・空き家について考える暮らしのイラスト
AIで制作したイメージイラストです。

親の入院や施設への入居が決まり、実家が空き家になりそう。「何から手をつければよいのか」と悩んでいませんか。

最初に決めたいのは、家を売るかどうかよりも、留守の間に誰が管理するかです。この記事では、家を空ける前の準備、管理の方法、維持費、将来の選択肢を順に説明します。

この記事の目次
  1. 親の家が空き家になりそう。最初に何を決める?
  2. 家を空ける前に、何を確認しておく?
  3. 空き家はどう管理する? 家族で見る範囲と頼めること
  4. 空き家を持ち続けると、どんな費用がかかる?
  5. 残す・貸す・売る・解体する。どう選べばよい?
  6. 名義や親の意思確認で困ったら、誰に相談する?
  7. まとめ|まずは留守中の管理を決めよう

1. 親の家が空き家になりそう。最初に何を決める?

まずは「戻る希望」と「留守中の管理」を話す

親が入院したからといって、すぐに家を手放す必要はありません。一時的に留守にするのか、生活の拠点を移すのかによって、その後の準備は変わります。

親が話せる状況なら、「退院したらこの家に戻りたい?」「家で気になることはある?」と聞いてみましょう。戻る時期が分からなくても、希望を聞くことはできます。

ただし、家に戻れるかどうかは、本人の希望だけでは決められません。階段の上り下り、通院や買い物、介護の支援なども関係します。退院後の暮らしについては、医療・介護の担当者と相談しながら考えます。

一方、帰宅の見通しが立つまで管理を待つことはできません。最初の話し合いでは、次の三つを決めておくと動き出せます。

  • 現地に行く人:郵便物や家の状態を見る。
  • 連絡をまとめる人:家族や業者とのやり取りを担当する。
  • 次に話す日:状況が変わっていないか、管理に無理がないかを見直す。

「家を残したい」理由も聞いておく

親の「残したい」という気持ちが、建物そのものを指しているとは限りません。仏壇や写真を大切にしたい、近所の人とのつながりを保ちたい、という思いが含まれていることもあります。

例えば「この家の何が一番気がかり?」と聞けば、「写真だけは捨てないでほしい」と具体的な希望が分かるかもしれません。建物、家財、人とのつながりを分けて考えると、残せるものを探しやすくなります。

家族の側も、できる範囲を伝えて構いません。「毎週は行けないけれど、業者への連絡はできる」と話せば、役割を分けられます。近くに住む人が、管理も費用もすべて背負う形にしないことが大切です。

親の希望を聞く。留守中の管理を決める。費用と将来の使い方を考える
考える順番を図で確認

2. 家を空ける前に、何を確認しておく?

鍵・郵便・食品は早めに対応する

まずは、留守にすると困るものから手をつけます。家財を一気に片づけるより、生活に直結するものを先に整えましょう。

  • :誰が持つか、予備をどこに保管するかを決める。
  • 郵便:受け取る方法と、住所変更が必要な契約先を調べる。
  • 食品・ごみ:冷蔵庫や台所を見て、傷みやすいものを整理する。
  • 緊急連絡先:家族の連絡役を決め、必要な相手に伝える。

郵便の転送を頼んでも、契約先での住所変更が別に必要なことがあります。重要な通知を見落とさないよう、税金、保険、公共料金などの送付先も見ておきます。

鍵の保管場所や留守の予定を、不特定の人が見られる場所に書くのは避けてください。業者に鍵を預ける場合は、受け渡した日、預け先、返却方法を記録します。

電気・水道・保険は、使い方を決めてから見直す

人が住まないからといって、電気や水道をすぐに止めるとは限りません。定期的な掃除や管理、防犯機器の使用に必要な場合があるためです。

家族が管理するのか、業者に頼むのかを決めたうえで、何を残す必要があるかを整理します。設備の扱いが分からないときは、契約先や管理業者に尋ねましょう。

火災保険なども、以前の契約がそのまま使えると思い込まないことが大切です。保険会社や代理店に「人が住まなくなる予定」を伝え、契約上の扱いと必要な手続きを聞いてください。

家の名義と、書類の保管場所を調べる

「親の家」と呼んでいても、登記上は祖父母の名義のままだったり、土地と建物で所有者が違ったりすることがあります。

管理の連絡役を決めても、その人が家を売ったり解体したりできるとは限りません。将来の話を進める前に、誰の不動産なのかを確かめます。

手元の書類は、次の表を目安に探してみてください。見つからないものは「不明」としておけば大丈夫です。

書類・情報何に役立つ?
固定資産税の通知対象の不動産や税額を整理する手がかりになる
登記に関する書類名義や権利関係を調べる手がかりになる
保険証券・契約の控え保険会社や契約内容を調べられる
図面・修繕の記録点検、改修、売却などの相談に使える
借地・賃貸などの契約書土地や建物を使う条件を調べられる

固定資産税の通知だけで、現在の権利関係をすべて判断することはできません。名義が分からない、共有者がいる、といった疑問は法務局や司法書士へ相談します。

最初は原本を全部集めるより、「何が、どこにあるか」を一覧にするだけでも役立ちます。家族が持ち出した書類は行き先を記録し、後で探し直す手間を減らしましょう。

家財は「残す・処分する・保留」に分ける

食品やごみの整理と、思い出の品の処分は別に進めます。親の了解を得ずに片づけると、必要な書類や大切な品を失うだけでなく、家族関係にも影響しかねません。

写真、手紙、仏壇、貴重品などは、本人の希望を聞いてから扱います。迷うものは保留の箱に分け、急いで結論を出さない方法もあります。

外部に片づけを頼むなら、残すものを先に明示してください。見積もりでは、運び出しや処分の費用、当日に物が増えた場合の追加料金を確認します。買取りがある場合は、処分料金とは分けて説明を受けると比較しやすくなります。

3. 空き家はどう管理する? 家族で見る範囲と頼めること

定期的に見る場所を決める

誰も住まない間も、建物と敷地の管理は必要です。国土交通省も、当面活用や除却をしない空き家について、適切な管理を案内しています。国土交通省「空き家を適切に管理する」

現地では、近隣に影響しそうな箇所と、前回から変わった箇所を中心に見ます。

  • 庭木の枝が道路や隣地へ伸びていないか。
  • 塀や外壁に、ひびや傾きなどの変化がないか。
  • 郵便物やごみがたまっていないか。
  • 室内に、新しい染みや気になるにおいがないか。
  • 窓や扉に、破損や不審な侵入の跡がないか。

写真には撮影日を添え、同じ位置から撮ると変化を比べやすくなります。「雨漏り」と決めつけるより、「天井に前回なかった染みがある」と、見たことを記録すると業者にも伝わります。

屋根に上る、傾いた塀を直す、傷んだ床に踏み込むといった作業は避けてください。家族が行うのは、安全に見られる範囲の確認までです。危険な箇所の点検や修繕は専門業者に任せます。

訪問は月に何回必要?

どの家にも当てはまる回数はありません。建物の状態、庭木の量、積雪や台風などの地域の条件によって、必要な管理は違います。

回数を先に決めるより、「何をする必要があるか」「誰なら続けられるか」を整理します。そのうえで、普段の訪問予定と、大雨・強風の後の連絡方法を決めましょう。

災害直後は、無理に現地へ向かわないでください。周辺や道路の安全を確かめ、危険があるときは自治体や専門業者に相談します。

遠方で通えないときは管理サービスも選択肢

家族での管理が難しければ、自治体の空き家相談窓口や地域の管理業者に相談できます。国土交通省も、自分で管理することが難しい場合は、管理業者などの利用を検討するよう案内しています。

サービスを比べるときは、月額だけでなく作業内容を見ます。同じ「巡回」でも、外から見るだけなのか、室内の確認まで含むのかで内容は異なります。

  • 訪問回数と、屋内に入るかどうか。
  • 写真や報告書で、何を報告してもらえるか。
  • 庭木の手入れ、ごみの処分、修繕は別料金か。
  • 異常があったとき、誰に、どのように連絡するか。
  • 鍵の管理方法と、契約を終了するときの条件。

修繕が必要になった場合も、「見積もりを取るところまで」「家族の承認後に工事を手配する」など、依頼する範囲を決めておくと行き違いを防げます。

近隣の方からの連絡は助けになりますが、日常の管理を任せきりにしないようにします。相談や作業の窓口は、家族または契約した事業者にまとめましょう。

4. 空き家を持ち続けると、どんな費用がかかる?

維持費は一年分にまとめて考える

人が住まなくなっても、家の支出がすべてなくなるわけではありません。毎月の支払いに加え、年払いの費用と、必要なときに発生する費用を分けて書き出します。

費用の種類主な項目金額を調べる手がかり
定期的な支払い税金、保険、電気・水道、管理委託料通知、契約書、請求書
手入れ・移動庭木の剪定、清掃、家族の交通費過去の支払い、訪問予定
必要時の支出修繕、設備の交換、家財整理点検結果、見積もり

金額が分からない項目は、ゼロではなく「未確認」と書きます。修繕の見積もりがまだないなら、その空欄が次に調べる項目です。

家族が立て替えた費用は、支払日、内容、金額、支払った人を記録し、領収書を残します。近くの人だけが払っている場合は、負担が大きくなる前に精算方法を話し合いましょう。

空き家になると、すぐ税金が高くなる?

空き家になっただけで、直ちに住宅用地の税の特例がなくなるわけではありません。

ただし、管理が不十分な状態が続き、自治体から「管理不全空家」や「特定空家」として勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れることがあります。通知が届いた場合は、その内容と対応期限を自治体に確認してください。国土交通省の制度説明

解体して更地にする場合にも、土地の税負担が変わる可能性があります。「建物をなくせば費用も減る」とは限らないため、解体後の税金と土地の管理費も含めて比べる必要があります。

家族の時間も、続けられるかを判断する材料に

維持の負担は、お金だけではありません。片道の移動時間、休日の作業、業者への連絡も積み重なります。

例えば「月額料金がかかるから管理業者は使わない」と決める前に、家族の交通費と訪問に使う時間も並べてみましょう。すべてを外注せず、庭木の手入れなど難しい作業だけ依頼する方法も考えられます。

5. 残す・貸す・売る・解体する。どう選べばよい?

まず四つの選択肢を同じ条件で比べる

当面の管理が決まったら、将来の使い方を考えます。親の希望に加え、利用予定、家の状態、費用、家族が担える手間を並べると、違いが見えてきます。

選択肢最初に考えること見落としやすい点
残す誰が、いつ、何に使うか使い始めるまでの管理費
貸す借り手の需要があるか修繕費、空室中の負担、契約条件
売る権利関係と売却条件査定額と手取りは同じではない
解体する跡地をどう使うか工事後の土地管理と税金

残すなら、使う人と見直す時期を決める

「いつか子どもが住むかもしれない」と考えている場合は、その人に希望を聞いてみます。家族が使うつもりでも、本人は別の地域で暮らしたいと思っているかもしれません。

使う人と時期が決まったら、入居までの管理と必要な修繕を調べます。まだ未定なら、「修繕の見積もりが出たらもう一度話す」など、次の話し合いのきっかけを決めましょう。

残すと決めても、将来ずっと同じ判断を続ける必要はありません。利用予定や家族の事情が変わったら、費用と負担を見直せます。

貸すなら、家賃から何が差し引かれるかを見る

貸す方法は、家を所有したまま活用できる選択肢です。ただし、想定した家賃がそのまま手元に残るわけではありません。

貸せる状態にする工事、入居者の募集、管理、設備の修繕などに費用がかかります。借り手がつかない期間も考え、地域の不動産会社に需要と支出の見通しを聞きましょう。

将来は親や家族が住みたい場合、契約の種類や終了条件も大切です。「必要になればすぐ戻れる」と考えず、契約前に説明を受けてください。

売るなら、査定額だけで決めない

査定額は、その金額で必ず売れるという約束ではありません。どのような条件や取引事例をもとに算出したのか、販売にどれくらいの準備が必要かを聞くことが大切です。

比較するのは、価格のほかに、手数料、家財整理などの費用、引き渡し時期、税金の確認事項です。提示額が高いという理由だけで依頼先を決めず、説明の根拠を比べます。

売却まで時間がかかる場合もあります。売り出した後の管理、内覧への対応、連絡を受ける人も決めておきましょう。

解体するなら、工事後まで見通す

解体には、建物を壊す費用のほか、家財の処分などが必要になる場合があります。見積もりの範囲と、追加費用が生じる条件を確かめます。

工事後も、草木の手入れなど土地の管理は続きます。税金への影響、跡地の利用や売却の見通しまで調べてから判断してください。

解体は元に戻しにくい行為です。所有者や共有者の意思、契約できる権限を確認しないまま、家族の一人だけで進めないようにしましょう。

6. 名義や親の意思確認で困ったら、誰に相談する?

相続した家は、登記の期限にも注意する

相続登記とは、相続した不動産の名義を変更する手続きです。2024年4月1日から義務化されました。

相続によって不動産を取得したことを知った場合、原則として、その日から3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前の相続で、すでに取得を知っていた未登記のケースでは、2027年3月31日が期限となる場合があります。法務省の相続登記案内

遺産分割の状況などでも必要な対応が変わります。自分の期限が分からないときは、法務局や司法書士に尋ねてください。「家族の話し合いが終わっていない」場合も、登記の相談まで待つ必要はありません。

祖父母の名義が残っている、相続人が誰か分からない、書類が見当たらない、といった段階でも相談はできます。分かる範囲を伝え、何を集めるかを教えてもらいましょう。

家族なら親の代わりに契約できる?

家族というだけで、親に代わって売却などの契約ができるわけではありません。親が入院中の場合や、意思の確認が難しい場合は、必要な権限や手続きを別に調べる必要があります。

「本人が署名できないから子どもが書く」と進めず、署名や押印の前に司法書士や弁護士などへ相談してください。家の管理で急ぐことがある場合は、その事情も一緒に伝えます。

相談先は困りごとに合わせて選ぶ

どこへ相談するか迷ったときは、困っている内容を一文にしてみます。「名義が分からない」「庭の手入れができない」など、具体的にすると窓口を選びやすくなります。

  • 空き家全般・地域の支援:自治体の空き家相談窓口。
  • 名義・相続登記:法務局や司法書士。
  • 家族間の紛争や契約上の問題:弁護士。
  • 固定資産税の通知・課税内容:自治体の税務窓口。
  • 売却などに伴う税金:税務署や税理士。
  • 管理・修繕・売却・賃貸:地域の対応業者や不動産会社。

初めて問い合わせるときは、家の所在地、分かる範囲の名義、人が住まなくなる時期、困っていることをメモしておくと伝わります。最初から詳細な権利書や本人確認書類を一式送るのではなく、相談先と必要な資料を確かめてから用意します。

複数の問題が重なって整理できない場合は、住まいと暮らしの安心協会でも気がかりを整理し、必要な相談先につなぐお手伝いをします。

現地確認と連絡の担当を決める。鍵・書類・家財の扱いを確認する。作業と費用の範囲を確かめる。状況が変わったら管理を見直す
ここまでの確認ポイント

7. まとめ|まずは留守中の管理を決めよう

親の家が空き家になるとき、最初から売却や解体の結論を出す必要はありません。まずは親の希望を聞き、留守中に家を見守る方法を決めます。

今日から進めるなら、次の順番が目安になります。

  1. 親の希望を聞き、鍵と郵便の扱いを決める。
  2. 現地に行く人と、連絡をまとめる人を決める。
  3. 名義・書類・維持費を分かる範囲で整理する。
  4. 家族だけでは難しいことを、相談先へ持っていく。

家をどうするかは、情報がそろってから考えられます。家族の一人に負担を集めず、続けられる管理から始めましょう。

出典・情報の確認日

情報確認日:2026年9月24日。制度に関する記述は上記の公式情報を確認し、整理方法・会話例・試算は協会編集部が作成しています。想定例は実際の相談実績や相場ではありません。

個別の法律・税務・医療・投資の判断は、状況に応じた専門家・窓口にご確認ください。

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